<rss version="2.0" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom">
  <channel>
    <title>欧州規制 on Arpokrat</title>
    <link>https://arpokrat.com/ja/blog/tags/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E8%A6%8F%E5%88%B6/</link>
    <description>Recent content in 欧州規制 on Arpokrat</description>
    <generator>Hugo -- gohugo.io</generator><language>ja</language><lastBuildDate>Mon, 24 Aug 2026 00:00:00 +0000</lastBuildDate><atom:link href="https://arpokrat.com/ja/blog/tags/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E8%A6%8F%E5%88%B6/index.xml" rel="self" type="application/rss+xml" />
    <item>
      <title>AIと守秘義務、訴えることのできない第三者</title>
      <link>https://arpokrat.com/ja/blog/ai-privilege-waiver-legal-personhood/</link>
      <pubDate>Mon, 24 Aug 2026 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://arpokrat.com/ja/blog/ai-privilege-waiver-legal-personhood/</guid>
      <description>&lt;p&gt;FBIが、証券詐欺で訴追された企業幹部ブラッドリー・ヘプナーの端末を押収したとき、捜査官はそこに新種の文書を三十一点見つけた。電子メールでもなく、メモでもなく、弁護人とのやり取りでもない。それは一般向けの人工知能プラットフォームとの会話だった。そこで彼は自分の防御方針を展開し、主張しうる事実上・法律上の論点を検討し、検察が何を突いてくるかを先読みしていた。これらの会話を交わしたのは大陪審への召喚状を受け取った後であり、しかも弁護人に求められたわけでもなかった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;2026年2月10日、ニューヨーク南部地区連邦裁判所のジェド・ラコフ裁判官は、これらの文書はいかなる保護も受けないと判断した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;同じ日、八百キロ離れた場所で、別の連邦裁判所が正反対の判断を下した。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;二つの決定二つの法理ひとつの行為&#34;&gt;二つの決定、二つの法理、ひとつの行為&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&#34;https://www.proskauer.com/alert/michigan-federal-court-protects-ai-assisted-litigation-work-product&#34;&gt;Warner v. Gilbarco&lt;/a&gt;
 において、ミシガン東部地区連邦裁判所は、弁護人を立てずに訴訟を進めていた原告に対し、主張の準備にあたって生成AIツールを使った記録の提出を強制することを拒んだ。理由はひとつの言い方に収まる。AIプラットフォームは&lt;strong&gt;道具であって人ではない&lt;/strong&gt;。文書を道具に入力することは、相手方に開示することとは違う。米国法が &lt;em&gt;work product&lt;/em&gt; と呼ぶ&lt;strong&gt;訴訟準備資料&lt;/strong&gt;の保護は、こうして生き残った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;書面理由が2月17日に公表された &lt;a href=&#34;https://harvardlawreview.org/blog/2026/03/united-states-v-heppner/&#34;&gt;United States v. Heppner&lt;/a&gt;
 において、ニューヨークの裁判所は、被告人とプラットフォームとのやり取りは&lt;strong&gt;弁護士秘匿特権&lt;/strong&gt;にも訴訟準備資料の保護にも含まれないと結論づけた。裁判所が拠り所としたのはプラットフォームの利用規約であり、そこには入力と出力が保存され、学習に使われ、公的機関を含む第三者に提供されうると書かれていた。それを知らされた利用者が秘密保持を合理的に期待することはできない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;どちらの結論も十分に成り立つ。弁護士の守秘は、相手が誰であれ第三者への開示があった時点で失われる。訴訟準備資料の保護は、相手方に開示された場合にのみ失われる。異なる二つの法理、同じひとつの行為、正反対の二つの帰結。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;どちらの決定も検討していないのは、両者が共有している前提である。そして法の他の部分と突き合わせたとき、持ちこたえないのはまさにその前提だ。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;誰もしない比較&#34;&gt;誰もしない比較&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;顧客のファイルをホスティング事業者に預けることは、それ自体としては、守秘の放棄と扱われたことがない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかしホスティング事業者は、議論の余地なく第三者である。文書を自社の機器上に保持している。提出を強制されうるし、複数の法域で実際に強制されてきた。それでも、どの弁護士会も、どの裁判所も、どの職業規制機関も、そこからホスティングサービスの利用が原理的に守秘を破壊するとは導かなかった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;つまり分かれ目は、技術的な仲介者が存在するかどうかではなかった。仲介者はつねにいる。郵便は手紙を運ぶ。宅配便はファイルを預かる。通信事業者は通話をつなぐ。いずれも文字どおりの第三者であり、そのどれも存在するだけで守秘を失わせはしない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ホスティング事業者を区別していたものは、判例が通常述べるよりも狭く、そして正確だった。読まずに保管していた。内容から何も推し量れなかった。自分が何を保持しているかを知る能力がなかった。&lt;/p&gt;
&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;ホスティング事業者を守っていたのは、第三者という法的地位ではなく、自分が何を保持しているかを知りえないという技術的な不能だった。&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;
&lt;p&gt;この基準は二十年にわたり静かに働いてきた。誰も書き記す必要はなかった。この基準を破る仲介者がまだ現れていなかったからだ。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;裁判官が実際に決めていること&#34;&gt;裁判官が実際に決めていること&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;基準がいったん言葉になると、2月の決定は性質を変える。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;文書を生成AIに入力することを第三者への開示として扱う裁判所は、古い規則を新しい事実に当てはめているのではない。この特定の仲介者は他と違うと認定しているのだ。保管ではなく処理をしている、と。ハードディスクの内側では起こらない何かが、その内側では起こっている、と。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;カンザス地区連邦裁判所は、2026年3月25日の &lt;a href=&#34;https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/kansas/ksdce/2:2025cv02352/158740/152/&#34;&gt;Jefferies v. Harcros Chemicals&lt;/a&gt;
 で実務的な側面を率直に述べた。同裁判所は保護命令を、秘密でないものも含めた訴訟資料全体に拡張した。理由は、データはいったん開放型のAIツールに入力されると事実上回収できない、なぜならそれがモデルの学習に使われたからだ、というものである。保存は再交渉できる商業方針ではない。システムの動作そのものの性質である。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;並べてみれば、これらの決定は、証拠法の語彙のなかで、法がサーバーに帰属させる必要のなかった能力を承認していることになる。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;フランスの立場とその基準が前提にしているもの&#34;&gt;フランスの立場と、その基準が前提にしているもの&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;もっとも明快な言明は裁判所からではなく、職業規制から来ている。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;フランスの全国弁護士会評議会 Conseil national des barreaux は、2024年9月に生成AIに関する最初の実務ガイドを公表し、続いて &lt;a href=&#34;https://cnb.avocat.fr/actualite/le-cnb-adopte-un-guide-sur-la-deontologie-et-l-intelligence-artificielle&#34;&gt;2026年3月17日に職業倫理と人工知能に関するガイドを採択した&lt;/a&gt;
。前者は核心において断定的である。弁護士は守秘義務の対象となるデータを生成AIシステムに渡してはならず、これは依頼者の氏名についても、あらゆる戦略的・機密的情報についても等しく当てはまる。推奨される代替策は、識別要素を置き換えた&lt;strong&gt;仮名化&lt;/strong&gt;データセットの上で作業することである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;フランスの立場についての実務家の注釈、とりわけ &lt;a href=&#34;https://resourcehub.bakermckenzie.com/en/resources/global-attorney-client-privilege-guide/europe-middle-east--africa/france/topics/07---artificial-intelligence&#34;&gt;Baker McKenzie の守秘義務比較ガイド&lt;/a&gt;
は、そこから四つの累積的条件を導き出す。守秘が生成AIツールの使用に耐えるのは、次のすべてを満たす場合に限られる。プラットフォームが完全な秘密保持を維持し、再利用も学習も第三者アクセスもないこと。弁護士または法律事務所の管理下でのみ運用されること。助言または弁護の職務に属する法的目的に用いられること。そして成果物が、システムの自律的な処理ではなく弁護士自身の推論を反映していること。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この最後の条件には立ち止まる価値がある。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;守秘が保たれるためには、システムが自らの処理を加えていないことが必要だ。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このような言葉で書かれた基準は、システムに自らの処理を加える能力があると見なす場合にしか意味をなさない。書類棚が中の書類について推論していないことを求める規則など、誰も書かない。この条件が存在するのは、棚にはできないことを狙っているからである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;同じ暗黙の承認は、仮名化の勧告のなかにも潜んでいる。送信前に識別要素を置き換える必要があるのは、そうしなければシステムがそれらを結びつけ、保存し、あるいは何かを導き出しうると想定する場合だけだ。純粋な保管媒体であれば、この種の用心はまったく要らない。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;読みたくないことと読めないこと&#34;&gt;読みたくないことと、読めないこと&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;反論はすぐに出てくる。ホスティング事業者もまた提出を強制されうるのに、なぜ一方の仲介者は守秘を失わせ、他方は失わせないのか。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;答えは &lt;a href=&#34;https://www.ccbe.eu/fileadmin/speciality_distribution/public/documents/DEONTOLOGY/DEON_CoC/EN_DEONTO_2021_Model_Code.pdf&#34;&gt;CCBE のヨーロッパ弁護士職務行為モデル規範&lt;/a&gt;
 にあり、反論が想定するより精密である。ヨーロッパの弁護士は、協働者、職員、そして役務の提供にあたって用いるあらゆる者に対し、同じ秘密保持義務の遵守を求めなければならない。義務は連鎖に沿って伝わっていく。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ホスティング事業者はこの連鎖に組み込める。委託処理契約を結ぶ。秘密保持の約束を受け入れる。監査を受けられるし、違反すれば訴えられる。第三者は拘束されている。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;入力された内容を保存し、それで学習する生成AIプラットフォームは、同じようには連鎖に組み込めない。妨げなければならないのが振る舞いではなく構造だからだ。入力データで学習しないという約束は、意図についての約束である。提供者に対しては対抗できるが、システムが何をするために作られているかは変えないし、外から検証することもできない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;読みたくない事業者と、読めない事業者。両者の距離のすべてがここにある。株主の交代、利用規約の改定、裁判所の命令を生き延びるのは後者だけだ。まさにこの仕組みを、&lt;a href=&#34;https://arpokrat.com/ja/blog/data-act-vs-cloud-act-digital-sovereignty/&#34;&gt;Data Act と CLOUD Act の衝突&lt;/a&gt;
をめぐって検討したことがある。法的な保証は、それを受け入れる法域以上の価値をけっして持たない。一方で技術的な不可能は、どの法域にも依存しない。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;非対称&#34;&gt;非対称&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;分析はここで居心地の悪い場所に行き着く。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;守秘の放棄が問題になるときには処理能力の承認を受け入れる同じ法秩序が、責任が問題になるときには何ひとつ承認しようとしない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;電子的人格&lt;/strong&gt;は、欧州議会が &lt;a href=&#34;https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/TA-8-2017-0051_FR.html&#34;&gt;ロボット工学に関する民事法規則についての2017年2月16日決議&lt;/a&gt;
 の第59項(f)で提案していた。文言は、もっとも高度な自律ロボットにはいずれ、引き起こした損害について責任を負わせうる地位を認めうると示唆していた。この提案は、&lt;a href=&#34;https://robotics-openletter.eu/&#34;&gt;数百人の専門家が署名した公開書簡&lt;/a&gt;
が反対したのち放棄された。彼らの主要な反論は堅固だった。機械に人格を与えることは、製造者が本来負うべき責任を切り離すための器を作ることになる、と。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうして立場は固まった。損害を引き起こす自律システムは製品であり、道具であり、それを導入した者の手段である。法人格はない。責任は人間または法人へと戻ってくる。そうするほかない。ほかに戻す先が存在しないからだ。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この二つの命題が、いま同時に動いている。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;システムが法的な意味での通知を受け取りうるのであれば、その能力は依頼者から保護を奪うために承認され、同時に、誰にも責任の負担を負わせないために否認されている。あるいはそれが道具であるなら、文書を入力することはファイルをディスクに保存することと同じで開示ではなく、その場合2月の理由づけは崩れる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ヨーロッパの文脈は、この不均衡を正すどころか強めている。AI責任指令は、2025年2月の欧州委員会作業計画の段階ですでに撤回が告げられ、&lt;a href=&#34;https://eapil.org/2025/10/09/european-commission-withdraws-two-proposals-assignments-of-claims-regulation-and-ai-liability-directive/&#34;&gt;2025年10月に正式に放棄された&lt;/a&gt;
。まさにこの困難を扱うはずの道具だった。残るのは&lt;a href=&#34;https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2024/2853/oj&#34;&gt;改正製造物責任指令&lt;/a&gt;
であり、ソフトウェアとAIシステムを対象に含めたものの、欠陥と損害と因果関係を要求し、自然人を身体損害、財産損害、データの破壊から保護する。国内法化の期限は2026年12月9日であり、しかもその日以降に市場に出された製品にしか適用されない。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;予想される反論とその答え&#34;&gt;予想される反論と、その答え&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;注意深い読者はこう返すだろう。法はある対象に能力を認め、別の対象には認めないということを日常的にしており、それは不整合ではない、と。動物は人格を持たずに法的に意味のある損害を生じさせうる。会社は契約のための人格を持つが、あらゆる法秩序においてあらゆる目的のために持つわけではない。したがって証拠上の目的で処理能力を認めることは、責任の目的で人格を認めることを誰にも義務づけない。異なる問いには異なる答えがある。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この反論は真剣なものであり、非対称が双方向に働くのであれば決定的だっただろう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;だが働くのは一方向だけだ。システムの能力が採用される場面では、保護を失う依頼者がその費用を負う。同じ能力が責任の配分に役立ったはずの場面では、それは見つからなくなる。結果はつねに同じ側に落ちる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;同じ当事者をつねに利する非対称は、法理上の区別ではない。それはリスクの配分であり、そのようなものとして議論されるべきだ。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;具体的に何を意味するか&#34;&gt;具体的に何を意味するか&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;以上のどれも、法律実務がこれらの道具を手放すべきだと示唆するものではない。ヨーロッパの職業文書もそう言ってはいないし、CCBE 自身がこの主題のガイドを公表している。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;示唆されるのはこうだ。決定的な問いは、事務所がどの道具を選ぶかではなく、その道具が何を保持するか、そしてその答えが方針の問題なのか設計上の性質なのか、である。保存しないという約束は、撤回され、読み替えられ、あるいは裁判所の判断で退けられうる。保存しない構造にはそれができない。提出すべきものが存在しないからだ。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この問題を調べたい人のための参照文書:&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;a href=&#34;https://www.ccbe.eu/fileadmin/speciality_distribution/public/documents/IT_LAW/ITL_Guides_recommendations/EN_ITL_20251002_CCBE-guide-on-the-use-of-the-use-of-generative-AI-for-lawyers.pdf&#34;&gt;弁護士による生成AIの利用に関する CCBE ガイド&lt;/a&gt;
（2025年10月2日公表）と、それを補う2026年3月の&lt;a href=&#34;https://www.ccbe.eu/fileadmin/speciality_distribution/public/documents/IT_LAW/ITL_Guides_recommendations/EN_ITL_20260327_CCBE-technical-guide-on-the-use-of-AI-tools-and-models-by-lawyers.pdf&#34;&gt;技術ガイド&lt;/a&gt;
&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;2026年3月17日の&lt;a href=&#34;https://cnb.avocat.fr/actualite/le-cnb-adopte-un-guide-sur-la-deontologie-et-l-intelligence-artificielle&#34;&gt;全国弁護士会評議会の職業倫理ガイド&lt;/a&gt;
。守秘と独立という古典的原則を適用し、AIのための特別法は作っていない&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;a href=&#34;https://resourcehub.bakermckenzie.com/en/resources/global-attorney-client-privilege-guide&#34;&gt;Baker McKenzie の比較ガイド&lt;/a&gt;
。各国制度の隔たりを測るのに役立つ&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h2 id=&#34;arpokrat-が取る視点&#34;&gt;Arpokrat が取る視点&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;この推論は法律事務所をはるかに超えて及ぶ。誰かが、二度と表に出てほしくない情報をシステムに預けるあらゆる関係に当てはまり、ひとつの問いに帰着する。保証は約束に立っているのか、それとも不可能性に立っているのか。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これが &lt;a href=&#34;https://arpokrat.com/ja/messenger/&#34;&gt;Arpokrat Messenger&lt;/a&gt;
 の設計を貫く原則である。識別情報は暗号鍵から端末上で生成され、電話番号もメールアドレスも用いず、秘密鍵が端末を離れることはない。この選択は、利用者名簿を利用しないと約束することではない。名簿をそもそも作らないということだ。情報を保持していない基盤に向けられた提出命令は、拒否を生まない。空白を生む。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この区別は正直に置いておく価値がある。すべてを決めるからだ。プライバシーポリシーは、誠実であっても、よく書けていても、ひとつの企業と、その時点の株主と、設立された法域に支えられた意思表明にすぎない。この三つは変わる。収集しない構造は、取締役会が変わったからといって変わらない。&lt;a href=&#34;https://arpokrat.com/ja/blog/harvest-now-decrypt-later-hndl-zero-knowledge/&#34;&gt;いま収集して後で復号する&lt;/a&gt;
について述べたのと同じ移動である。リスクは約束する時点にあるのではなく、別の誰かが決める時点にある。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;法がこの区別を取り込むには時間がかかる。守秘義務をめぐる議論はその良い物差しになる。&lt;a href=&#34;https://arpokrat.com/ja/blog/5g-location-data-privacy-law/&#34;&gt;位置情報の保護&lt;/a&gt;
についても同じで、法的構築の大半はデータへのアクセスをめぐっており、そのデータの存在自体が問われることはない。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;結論&#34;&gt;結論&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;判例はいずれ落ち着くだろう。控訴審が食い違いを解決し、規制当局が基準を公表し、事務所は委任状と契約条項を調整する。そこに疑いはない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし根本の問いはそれでは片づかない。それは本当は守秘義務についての問いではないからだ。それは、ある法秩序が、物が知っていると認めながら、その知をどう扱ったかについて誰が答えるのかをついに言わずに済ませられるのか、という問いである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この問いが開いたままであるかぎり、利用者が本当に握っている変数は、与えられる約束の質ではない。存在させてしまう情報の量である。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;em&gt;本稿は議論のための一般的な法的分析であり、意見書でも法的助言でもない。&lt;/em&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;出典&#34;&gt;出典&lt;/h2&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;United States District Court for the Eastern District of Michigan, Warner v. Gilbarco Inc.、2026年2月10日、&lt;a href=&#34;https://www.proskauer.com/alert/michigan-federal-court-protects-ai-assisted-litigation-work-product&#34;&gt;Proskauer の分析&lt;/a&gt;
&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;United States District Court for the Southern District of New York、&lt;a href=&#34;https://harvardlawreview.org/blog/2026/03/united-states-v-heppner/&#34;&gt;United States v. Heppner&lt;/a&gt;
、2026年2月10日、2026年2月17日付書面理由&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;United States District Court for the District of Kansas、&lt;a href=&#34;https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/kansas/ksdce/2:2025cv02352/158740/152/&#34;&gt;Jefferies et al. v. Harcros Chemicals Inc. et al.&lt;/a&gt;
、事件番号 2:25-cv-02352、2026年3月25日&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;Conseil national des barreaux、&lt;a href=&#34;https://cnb.avocat.fr/actualite/le-cnb-adopte-un-guide-sur-la-deontologie-et-l-intelligence-artificielle&#34;&gt;CNB、職業倫理と人工知能に関するガイドを採択&lt;/a&gt;
、2026年3月17日&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;Baker McKenzie、&lt;a href=&#34;https://resourcehub.bakermckenzie.com/en/resources/global-attorney-client-privilege-guide/europe-middle-east--africa/france/topics/07---artificial-intelligence&#34;&gt;Global Privilege and Professional Secrecy Guide, France, Artificial Intelligence&lt;/a&gt;
&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;CCBE、&lt;a href=&#34;https://www.ccbe.eu/fileadmin/speciality_distribution/public/documents/DEONTOLOGY/DEON_CoC/EN_DEONTO_2021_Model_Code.pdf&#34;&gt;Model Code of Conduct for European Lawyers&lt;/a&gt;
、2021年10月8日&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;CCBE、&lt;a href=&#34;https://www.ccbe.eu/fileadmin/speciality_distribution/public/documents/IT_LAW/ITL_Guides_recommendations/EN_ITL_20251002_CCBE-guide-on-the-use-of-the-use-of-generative-AI-for-lawyers.pdf&#34;&gt;Guide on the use of generative AI by lawyers&lt;/a&gt;
、2025年10月2日&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;欧州議会、&lt;a href=&#34;https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/TA-8-2017-0051_FR.html&#34;&gt;ロボット工学に関する民事法規則について委員会への勧告を含む2017年2月16日決議&lt;/a&gt;
、2015/2103(INL)&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;a href=&#34;https://robotics-openletter.eu/&#34;&gt;Open Letter to the European Commission on Artificial Intelligence and Robotics&lt;/a&gt;
&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;EAPIL、&lt;a href=&#34;https://eapil.org/2025/10/09/european-commission-withdraws-two-proposals-assignments-of-claims-regulation-and-ai-liability-directive/&#34;&gt;European Commission Withdraws Two Proposals: Assignments of Claims Regulation and AI Liability Directive&lt;/a&gt;
、2025年10月9日&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;a href=&#34;https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2024/2853/oj&#34;&gt;欠陥製造物責任に関する2024年10月23日の指令 (EU) 2024/2853&lt;/a&gt;
&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
</description>
    </item>
    <item>
      <title>5G、位置情報、そして法が狙いを誤った場所</title>
      <link>https://arpokrat.com/ja/blog/5g-location-data-privacy-law/</link>
      <pubDate>Tue, 18 Aug 2026 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://arpokrat.com/ja/blog/5g-location-data-privacy-law/</guid>
      <description>&lt;p&gt;2011年、デトロイト市警はある携帯通信事業者に対し、ティモシー・カーペンターの携帯電話が基地局に接続した履歴を求めた。得られたのは127日間にわたる12,898件の位置点、一日あたりおよそ百件である。その7年後、合衆国最高裁判所は、この請求が捜索にあたり令状を要すると判断した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この12,898件は第四世代の基地局から得られたもので、その一つひとつが数キロメートルの半径をカバーしていた。同じ請求を今日、都市部の5Gネットワークに向けたなら、数キロメートルの精度で一日百件が返ってくるのではない。数十メートルの精度で、はるかに大きな量が返ってくる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;技術は桁を変えた。法的な論理は、鎖の同じ場所にとどまったままである。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;大西洋の両岸で裁判官が認めている法益&#34;&gt;大西洋の両岸で裁判官が認めている法益&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ほとんど誰もが認めながら、ほとんどどの条文も実効的に守っていない利益がある。どこかにいるという事実を記録されずにいる権利である。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;欧州の判例はこれを明確に確立した。&lt;a href=&#34;https://eur-lex.europa.eu/legal-content/FR/TXT/?uri=CELEX:62012CJ0293&#34;&gt;Digital Rights Ireland&lt;/a&gt;
（併合事件C-293/12およびC-594/12、2014年4月8日）、続いて&lt;a href=&#34;https://eur-lex.europa.eu/legal-content/FR/TXT/?uri=CELEX:62015CJ0203&#34;&gt;Tele2 SverigeおよびWatson&lt;/a&gt;
（併合事件C-203/15およびC-698/15、大法廷、2016年12月21日）において、欧州連合司法裁判所は、これらのデータは全体として見れば個人の私生活についてきわめて精密な結論を導きうると判示した。日常生活の習慣、滞在場所、移動、従事する活動、そして社会的関係である。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;合衆国最高裁判所も&lt;a href=&#34;https://www.supremecourt.gov/opinions/17pdf/16-402_h315.pdf&#34;&gt;Carpenter v. United States&lt;/a&gt;
, 585 U.S. 296 (2018) で近い結論に達した。アメリカの学説が繰り返し論じてきた点、すなわちこの収集が&lt;strong&gt;不可避かつ自動的&lt;/strong&gt;であるという性質を、判決は強調した。人は基地局に接続されることに同意するのではない。電源の入った電話を持っているがゆえに接続されるのである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;法益は存在し、この分野で重みを持つ二つの裁判所がそれを認めている。問題は別のところにある。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;5gが実際に変えたもの&#34;&gt;5Gが実際に変えたもの&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;よくある混同は、位置情報をメッセージや写真と同じように、電話が送信するデータとして扱うことである。そうではない。位置は&lt;strong&gt;ネットワークの動作の物理的帰結&lt;/strong&gt;である。事業者が端末の接続先の基地局を知っているのは、通話を経路制御するために知らなければならないからだ。この情報を暗号化する鍵は存在しない。それは内容ではなく、接続そのものの性質だからである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;5Gが技術面ではなく法的な面で重要になるのは、まさにこの点による。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;従来のアーキテクチャは広いセルに依拠していた。4Gの基地局は通常数キロメートルの半径をカバーし、接続だけから推定される位置は都市部で数百メートル、農村部では数十キロメートルに及ぶこともあった。5Gは大規模な高密度化に立脚する。都市部のセルは通常数百メートルをカバーし、工学文献は1平方キロメートルあたり40から50基の基地局という密度を想定する。3G時代は4基か5基であった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;帰結は機械的である。&lt;a href=&#34;https://www.ericsson.com/en/reports-and-papers/white-papers/5g-positioning&#34;&gt;エリクソンの5G測位に関するホワイトペーパー&lt;/a&gt;
によれば、接続性のためだけに敷設されたインフラが屋外で20から50メートル、屋内で1から3メートルの精度に達し、条件の良い都市部では1メートルを下回る。どこかで有効にされた位置情報機能の話ではなく、アプリが一つも入っておらず、権限が一つも与えられていなくても、ネットワークが構造上知っている事柄である。これらの仕組みと、実際に効果のある対抗策については、&lt;a href=&#34;https://arpokrat.com/ja/blog/how-your-phone-tracks-your-location/&#34;&gt;携帯電話による恒常的な位置特定&lt;/a&gt;
についての記事で詳しく扱った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;したがって侵襲の度合いは数桁増した。適用される法的枠組みは、2Gと3Gのために考えられたもののままである。この桁の変化に、規範上の適応は一切伴わなかった。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;法はアクセスを守り生成を守らない&#34;&gt;法はアクセスを守り、生成を守らない&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;欧州法は、誰が、いかなる条件で、いかなる監督の下で位置データにアクセスできるかを丁寧に定めている。指令2002/58/ECは通信の秘密の原則を置き、司法裁判所は&lt;a href=&#34;https://eur-lex.europa.eu/legal-content/FR/TXT/?uri=CELEX:62018CJ0511&#34;&gt;La Quadrature du Net&lt;/a&gt;
（併合事件C-511/18、C-512/18およびC-520/18、大法廷、2020年10月6日）において、同指令15条1項を憲章7条、8条、11条および52条1項に照らして読むと、予防目的での通信トラフィックおよび位置データの&lt;strong&gt;一般的かつ無差別な保存&lt;/strong&gt;は許されないと判示した。もっとも裁判所は、加盟国が現実かつ現在の、または予見しうる重大な国家安全保障上の脅威に直面している場合には、実効的な統制を条件として、枠づけられた例外を認めた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これらは実在する保護であり、軽んじるのは不合理である。しかしそのいずれも事後に働く。データが存在し、保存されていることを前提としたうえで、その利用条件を定めているのである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;だが位置がネットワークの動作から避けがたく生じる副産物であるなら、介入すべき地点は秘密性ではない。&lt;strong&gt;残り続けること&lt;/strong&gt;である。&lt;/p&gt;
&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;通信の経路制御に必要で、その直後に消去される瞬間的な位置は、監視の道具ではない。数か月保存される位置の履歴は監視の道具である。それを取り巻くアクセス上の保障がどれほど厚くとも変わらない。&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;
&lt;p&gt;両者の違いは法的なものではなく、アーキテクチャ上のものである。そして欧州の日程が、この問いを理論ではなく喫緊のものにしている。欧州委員会は共同立法者間の合意が得られず、2025年に&lt;a href=&#34;https://edri.org/our-work/the-eprivacy-regulation-proposal-has-been-withdrawn-but-the-fight-for-your-privacy-is-far-from-over/&#34;&gt;ePrivacy規則案を撤回した&lt;/a&gt;
。以来、刑事目的のデータ保存に関する別個の法文書に取り組んでおり、それは&lt;a href=&#34;https://www.heise.de/en/news/Data-Retention-Commission-to-present-proposal-by-mid-2026-11101430.html&#34;&gt;2026年に予定されている&lt;/a&gt;
。2006年指令の無効判決以来ばらばらになった各国制度を調和させることを目的とする。言い換えれば、位置メタデータの制度を今後10年にわたって定める条文が、キロメートル級のセルの時代に組み立てられた論理を土台として、いま書かれているのである。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;5g自身が作った先例&#34;&gt;5G自身が作った先例&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;この件で最も興味深いのは、正しい答えがすでに技術標準の中にあり、ただ別の対象に適用されている、という点である。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;4Gまで、加入者の恒久的識別子である&lt;strong&gt;IMSI&lt;/strong&gt;は、接続時に無線区間を平文で流れていた。これが&lt;strong&gt;IMSIキャッチャー&lt;/strong&gt;を可能にした。&lt;a href=&#34;https://www.eff.org/wp/gotta-catch-em-all-understanding-how-imsi-catchers-exploit-cell-networks&#34;&gt;電子フロンティア財団の標準的な解説&lt;/a&gt;
によれば、正規の基地局より強く電波を出して端末を引き寄せ、その識別子を捕捉する偽基地局である。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;2019年に公表された3GPP仕様のRelease 15以降、5Gは優雅な答えを用意した。いまや&lt;strong&gt;SUPI&lt;/strong&gt;と呼ばれる恒久的識別子は、無線区間では&lt;strong&gt;SUCI&lt;/strong&gt;に置き換えうる。SUCIは、加入者固有の部分を、ホーム事業者の公開鍵を用いた楕円曲線暗号で暗号化して得られる秘匿識別子である。対応する秘密鍵を持つホームネットワークだけがこれを復号できる。計算のたびに結果が異なるため、セッションをまたいだ相関づけができない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;採られた論理は強調に値する。立法者が従うべき論理そのものだからである。技術的に不可能な位置の暗号化ではなく、身元を暗号化する。結びつけるべき身元を欠いた位置は、個人を狙った監視にとって価値がきわめて限られる。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;欠陥はこの保護が任意であること&#34;&gt;欠陥は、この保護が任意であること&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;もっとも、無視できない留保がある。そしてそれが、この件全体で最も具体的な介入点だと私たちは考える。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;米国国立標準技術研究所が2026年3月に公表した&lt;a href=&#34;https://doi.org/10.6028/NIST.CSWP.36A&#34;&gt;ホワイトペーパーNIST CSWP 36A&lt;/a&gt;
は、これを率直に述べている。Release 15以降に準拠する端末およびネットワーク機能はSUCIを&lt;strong&gt;サポートする&lt;/strong&gt;義務を負うが、その有効化は&lt;strong&gt;事業者の任意&lt;/strong&gt;にとどまる。三つの条件がそろわなければならない。機器ベンダーが対応していること、事業者が自網で有効にすること、そしてSIMカードが計算に必要な要素を備えていることである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そこに設定上の罠が加わる。標準は&lt;strong&gt;ヌル保護方式&lt;/strong&gt;を定めており、そこではSUCIの形式が形のうえでは用いられるが実際の暗号化は行われず、識別子は平文のまま流れる。NISTは、事業者は自網をヌルでない保護方式で構成する必要があると書き、連邦通信委員会の諮問機関CSRICの報告が2021年の時点で、ヌル方式はネットワークが知らない端末からの緊急通報に限るよう勧告していたことを想起させる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この一文はそのまま置いておく価値がある。移動端末の追跡に対する現時点で最良の保護は、2019年から技術標準の中にある。それは事業者の裁量に委ねられた設定の選択に懸かっている。米国の連邦機関は2026年に、それを有効にすべきだと注意喚起する文書を出す意義を認めている。そして欧州のいかなる法的文書もそれを義務づけていない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;付け加えるなら、SUCIで話が終わるわけではない。&lt;a href=&#34;https://dl.acm.org/doi/10.1145/3448300.3467826&#34;&gt;5G SUCI-catchers: still catching them all?&lt;/a&gt;
 の題で発表された研究は、暗号化にもかかわらずセッションを再び相関づけうるリンク可能性攻撃を記録している。さらに、攻撃者が端末を旧世代へ落とすよう強いれば保護は完全に失われる。したがって法的義務がすべてを解決するわけではない。それでも、擁護しうる理由のない乖離、すなわち標準が許すことと商用ネットワークが実際に行うこととの乖離は解消されるだろう。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;一貫した三つの介入&#34;&gt;一貫した三つの介入&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;位置は事後に保護するのではなく設計段階で最小化すべきだという考えを真剣に受け取るなら、論理的に三つの措置が導かれる。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;識別子の実効的な秘匿を義務化する。&lt;/strong&gt; SUCIの有効化を課し、緊急通報という残余の場合を除き、商用ネットワークでのヌル保護方式を禁じる。新技術を規定するのでも、敷設に資金を投じるのでもない。7年前に標準化され、機器にすでに備わっている機能を有効にせよと求めるだけである。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;保存を既定ではなく例外として扱う。&lt;/strong&gt; 通信の経路制御に必要な位置は、その役割を終えた時点で消去されるべきである。履歴の形成には固有の正当化が要求されるべきである。あなたがどこにいるかを知っているネットワークと、あなたがどこにいたかを覚えているネットワークとの違いがそこにある。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;鍵の保管を連結点とする。&lt;/strong&gt; データを可読にする鍵が域外にあるなら、サーバーが域内にあることにさして意味はない。法的に意味のある基準は復号手段に対する実効的な支配であるべきで、この問いは&lt;a href=&#34;https://arpokrat.com/ja/blog/data-act-vs-cloud-act-digital-sovereignty/&#34;&gt;Data ActとCLOUD Actの衝突&lt;/a&gt;
を論じた際に詳しく検討した。&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h2 id=&#34;arpokratが取る角度&#34;&gt;Arpokratが取る角度&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;この論理は電気通信法に固有のものではない。私たち自身のアーキテクチャの選択に適用している論理であり、一文で言い表せる。生み出されなかったものは、守る必要がない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;だからこそ&lt;a href=&#34;https://arpokrat.com/ja/os/&#34;&gt;ArpokratOS&lt;/a&gt;
は、GPS、Bluetooth、NFCをメニューで無効化するのではなく、カーネルの水準で取り除く。スイッチはポリシーである。特権を持つ構成要素に迂回され、更新によって再び有効にされ、侵害された系に無視されうる。コード経路そのものを取り除けば、問いは消える。これは、私たちが法の水準で求めているのと同じ転換を、一台の端末の水準に置き換えたものである。アクセスではなく生成に介入する、ということだ。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これが何をしないかも、ただちに述べておかねばならない。いかなるOSも端末をネットワークの幾何から引き離しはしない。SIMカードが有効であるかぎり事業者は接続中のセルを知っており、全通信をTor経由にしても何も変わらない。Torが守るのは内容と宛先であって、無線層ではないからだ。まさにそれゆえ、この主題は法的な主題なのである。個々人の設定では減らせない種類のリスクがあり、それについて使える変数は事業者に適用される規則だけである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;同じ関心が私たちの他の仕事も貫いている。存在しないデータは、押収されることも、転売されることも、外部に持ち出されることも、今日誰も持っていない機械によって10年後に復号されることもない。この問いは&lt;a href=&#34;https://arpokrat.com/ja/blog/harvest-now-decrypt-later-hndl-zero-knowledge/&#34;&gt;いま収穫し後で解読する暗号&lt;/a&gt;
という角度から扱った。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;結論&#34;&gt;結論&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;モバイル監視をめぐる公共の議論は、ほぼもっぱらアクセスに集中している。誰がデータを閲覧できるのか、いかなる根拠で、いかなる許可のもとに。この議論は正当であり、2014年以降に司法裁判所が下した判断は具体的な効果を生んだ。しかし、鎖のなかで介入する時点が遅すぎる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それに先立つ、より決定的な問いは、そもそも履歴が存在すべきかどうかである。今日、正当な理由で作られたデータベースは、明日には別の理由のために利用可能なまま残る。そしてそれを取り巻く保障は、収集の時点では誰も左右できない後年の政治的決定に依存する。これは制度の安定性に対する賭けであり、その期間を定める者はいない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;5Gはこの情報の解像度を何倍にも高めたが、規範上の適応は一切なされなかった。同時に5Gは、SUCIという仕組みによって、実行可能な道はネットワークの物理的性質を暗号化しようとすることではなく、位置を身元から切り離すことにあると示した。技術標準は、法が問いを立てる7年前に答えを出していたのである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;データ保存に関する欧州の条文はいま書かれている。それはメタデータを、したがって位置を、したがって起草者が知らなかった精度で5Gがいま生み出しているものを対象とする。所与とみなされた履歴へのアクセスを整えるにとどまるのか、それともその履歴の必要性そのものを問う勇気を持つのか。それはおそらく、今後数年の欧州における最も重要なプライバシーの問いである。そしてそれは、技術の分野が今回にかぎっては、すでに正しい方向に決着させた問いでもある。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;出典&#34;&gt;出典&lt;/h2&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;欧州連合司法裁判所、&lt;a href=&#34;https://eur-lex.europa.eu/legal-content/FR/TXT/?uri=CELEX:62012CJ0293&#34;&gt;Digital Rights Ireland&lt;/a&gt;
、併合事件C-293/12およびC-594/12、2014年4月8日&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;欧州連合司法裁判所、&lt;a href=&#34;https://eur-lex.europa.eu/legal-content/FR/TXT/?uri=CELEX:62015CJ0203&#34;&gt;Tele2 SverigeおよびWatson&lt;/a&gt;
、併合事件C-203/15およびC-698/15、大法廷、2016年12月21日&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;欧州連合司法裁判所、&lt;a href=&#34;https://eur-lex.europa.eu/legal-content/FR/TXT/?uri=CELEX:62018CJ0511&#34;&gt;La Quadrature du Net ほか&lt;/a&gt;
、併合事件C-511/18、C-512/18およびC-520/18、大法廷、2020年10月6日&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;合衆国最高裁判所、&lt;a href=&#34;https://www.supremecourt.gov/opinions/17pdf/16-402_h315.pdf&#34;&gt;Carpenter v. United States&lt;/a&gt;
、585 U.S. 296、2018&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;米国国立標準技術研究所、&lt;a href=&#34;https://doi.org/10.6028/NIST.CSWP.36A&#34;&gt;Protecting Subscriber Identifiers with Subscription Concealed Identifier (SUCI)&lt;/a&gt;
、NIST CSWP 36A、2026年3月&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;エリクソン、&lt;a href=&#34;https://www.ericsson.com/en/reports-and-papers/white-papers/5g-positioning&#34;&gt;5G positioning: Locating devices anywhere&lt;/a&gt;
&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;Merlin Chlosta ほか、&lt;a href=&#34;https://dl.acm.org/doi/10.1145/3448300.3467826&#34;&gt;5G SUCI-catchers: still catching them all?&lt;/a&gt;
、ACM WiSec、2021&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;電子フロンティア財団、&lt;a href=&#34;https://www.eff.org/wp/gotta-catch-em-all-understanding-how-imsi-catchers-exploit-cell-networks&#34;&gt;Gotta Catch &amp;lsquo;Em All: Understanding How IMSI-Catchers Exploit Cell Networks&lt;/a&gt;
&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;European Digital Rights、&lt;a href=&#34;https://edri.org/our-work/the-eprivacy-regulation-proposal-has-been-withdrawn-but-the-fight-for-your-privacy-is-far-from-over/&#34;&gt;The ePrivacy Regulation proposal has been withdrawn, but the fight for your privacy is far from over&lt;/a&gt;
&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;heise online、&lt;a href=&#34;https://www.heise.de/en/news/Data-Retention-Commission-to-present-proposal-by-mid-2026-11101430.html&#34;&gt;Data Retention: Commission to present proposal by mid-2026&lt;/a&gt;
&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
</description>
    </item>
  </channel>
</rss>